空き家を福祉施設として活用 国交省、規制緩和

 全国で増え続ける空き家を福祉施設などニーズが高い施設として民間の事業者などが活用しやすくするため、国土交通省は建築基準法を改める方針を決めた。耐火基準や用途変更の手続きの規制を緩和し、転用を後押しする。
空き家は人口減少などで年々増え、2013年時点で全国に約820万戸。20年で約1.8倍に増えた。近年も増え続け、ごみの不法投棄や火災など、防犯や防災面での悪影響が社会問題となっている。
 各自治体が対策を模索するが、解体には費用がかかり、人口減で住宅として再利用するニーズは乏しい。一方、飲食店や保育所、高齢者により福祉施設にはニーズがある。だが、例えば三階建の戸建住宅を別の用途で使うには耐火性の強化など行政上の規約が厳しく、改修すると建て替えと変わらない費用がかかる問題があった。
 全国に100万戸超ある3階建て戸建住宅は都市部などの住宅密集地に多く、高齢化などで空き家になるケースも多い。そこで国交省は3階建て住宅を転用する場合、延べ面積が200平方メートル未満であれば厳しい耐火対策を求めず、警報設備やスプリンクラーの新設だけで可能になった。現状と比べ費用は10分の1程度で済む見通しだ。
また、耐火基準などを確認する「建築確認」を、大半の戸建て住宅の用途変更の際に不要とする。建築確認は現在、延べ面積が100平方メートルを超える場合(前戸建ての約7割)の用途変更の際に必要とされてきが、対象を200平方メートル超に絞る。これにより、戸建て全体の建築確認が不要になる。
 国交省は、建物の大きさと火災時の避難にかかる時間との関係を専門家を加えて科学的に検証した結果、今回の範囲で規制を緩和して支障はないと判断したとしている。
朝日新聞社より

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