空き家活用の事例 不動産を残す方の事例01
不動産を残す方の活用事例
築50年以上。老朽化した借地権付き建物にひとり住む男性が将来の不安解消のため下した決断とは
- 空き家でのお悩み
- ●建物の老朽化
- ●自分がもしもの時に借地権の家が残る
- 所有者:ご本人
- 建物:一戸建て(借地権付き建物)
- 建物面積:96㎡
- 築年:築50年
空き家活用サポートメンバー
- 司法書士
- 土地家屋調査士
- 空き家相談士
- 宅地建物取引士
- 不動産会社
- 不動産会社2
空き家活用前の背景
■満たされずとも過ごせている平穏な日々にも、将来への不安があった
場所は荒川区南千住駅からほど近く。仕事はバリバリ現役の技術者で、30年以上知人工場に勤めるベテラン。手に職を得つつ会社からは信頼を置かれる立場であるにもかかわらず、年齢を重ねるにつれ大きくなる将来への不安を抱えていらっしゃいました。
該当住宅から毎日自転車で通勤に30分を費やし江東区まで通勤。体力的にも精神的にも大変になってきている。築50年の自宅と会社を行き来する毎日を過ごす中、「もし働けなくなったら…」「ずっと働かないといけないのか…」「自分にもしものことがあったら…」と、いつか訪れるであろう避けられない諸問題に向き合うたび、時折押し寄せる不安がありました。
■3つの不安要素
ご相談者様にお話を聞くと、大きく3つのお悩みがあるようでした。
- 1.老朽化した家=自分にもしものことがあったらどうなるのか
- 2.仕事=収入をどうするか
- 3.不測の事態にどう対処するか=誰に面倒をみてもらうか
1.については、現状で居住需要のある親族や知人の方もいないとのことで、将来的に相続対象となる姉も別に所帯を持つことから必要としていないとのこと。更に、借地であることを耳にする。築50年を超え老朽化した建物が借地の上に建っていることになる。このままではますます外部への需要も期待しにくい。
2.では、体力的にも今の仕事を続けていけるかという不安を抱えている。若いころとは違い朝から晩までとは気持ちがあっても身体が付いてこない。働き方も調整できれば体にも心にも余裕ができるが収入が減るのは不安。
3.は頼れる親族が年上の姉だけであり面倒を見てもらう人はいない。また、生活を保証するまとまったお金がなく、外部の介護サービスや施設に入ることも難しい。
以上3点が大きな理由でもあるとの結論に至りました。
空き家ゼロ推進協議会からのご提案
■空き家ではないが、将来を考えると不安を抱えているご様子
ご相談者様とは空き家ゼロ推進協議会のメンバーが調査中にご自宅の前で話しかけたことから関係がスタート。
当協議会の活動をお伝えするも、現在は住んでいて空き家ではないことから一見サポートの必要性をお互いに見いだせなかった。後日なんとなく気になったので再訪すると、立ち話もなんだからと家の中へ招き入れてくださり、過去の話とともに今後の話をしていくと漠然とだが不安を抱えていらっしゃるご様子でした。
解決するにあたり将来設計シミュレーションを行うことで、どのような生活を何歳まで続けたいかという点に絞って一緒に考えていきました。
お姉さんが一緒に住んでも良いという話になり、具体的な道筋が見えてきたところで住んでいる家を確認。いろいろと整理するうちに、借地権であり建物は築50年以上経過していることが判明しました。相続によって取得していることからローン残債などはありませんでしたが、老朽化した建物に住んでいることには変わりはありません。
すべての悩みを解決する手段として以下を提案しました。
■自宅を売却し、まとまった現金で賃貸アパートを借りる。何より、まず手元に現金を置くこと
借地権付きの建物を売却するという話に、「こんなに古くて売れるの?」「地主は買い取ってくれないのでは?買い叩かれるのでは?」と、地主側には不動産会社がついているからと弱気なご様子で、代わりに道筋を立ててくると伝えると、少し安心していただけたようでも半信半疑のようでした。
ここで、もう1つのポイントである、「地主以外の第三者に売る」ということをご説明すると、驚いたご様子でした。それも地主と一緒に借地と底地を同時に売ることができれば、両方のメリットを見いだせるかもしれないことをご理解いただくと、代わりの役割を承諾していただきました。最悪は借地権のみの第三者への売却も検討できました。
■正確な借地面積の確定と地主との契約内容を確認
ここでは契約期間や月々の賃料、将来的な契約更新料等を確認しました。借地では地主の承諾なしに第三者への譲渡を行うことは難しいため、地主との条件調整も必要です。現在に至るまでの地主や管理不動産業者とのやり取り内容を事前に共有していただき、これから直近で家賃の受渡しがあるとの事で、その機会に協議の場を設定していただきました。
■地主側の不動産業者とサポートメンバーが対峙し意向を伝えると、その場は地主への伝達を約束
その後は不動産業者同士で話を重ねるごとに内容は詰まっていき、いよいよ同時売却という線で話が進んでいきました。ここではいくらで売れるかが重要なので、しっかりとした査定と地主と借地人の分配金についても想定しておきます。更には、この段階で買主候補も先んじて検討していました。
あとは、売却に向けてそれぞれが書類関係を準備を進めていきます。この間、借地人である対象者の引越し先の物件も決定し、無事に売却が完了しました。
老朽化する自宅への心配は無くなり、かつ不測の事態への対応も可能となりました。総じて不安要素がなくなり、心理的に非常に楽になられたとのことです。
空き家活用サポートメンバー
- 司法書士
- 所有権移転、抵当権設定登記
- 土地家屋調査士
- 測量、境界確定
- 空き家相談士
- 権利整理、全体計画、工程管理
- 宅地建物取引士
- 契約書作成、重量事項説明
- 不動産会社
- 各種調査、価格査定、買取り
- 不動産会社2
- 地主条件交渉
ご相談者の声や解決後のお話しなど
■漠然とあった将来の不安要素がすべて解消され、今では心に余裕が生まれました
最初はどう解決できるのかわからず不安だけがありましたが、ご協力いただいたおかげで上手くいきました。スッキリしたというのが本音です。
今は残された現金と将来年金、数年後まで働く収入と支出のシミュレーション結果から働き方調整も可能となり、心に余裕が生まれました。