空き家活用の事例 不動産を残された方の事例03
不動産を残された方の活用事例
親の一周忌を期に実家を処分しようとしたら
- 空き家でのお悩み
- ●どうやって売却をしたらいいかわからない
- ●どうしたらいいかわからない
- 所有者:ご本人(相続人の1人)
- 建物:一戸建て(2棟)
- 建物面積:1・建物面積:23.14㎡/2・建物面積:24.79㎡ 土地面積:102.25㎡
- 築年:不明
空き家活用サポートメンバー
- 弁護士
- 司法書士
- 土地家屋調査士
- 宅地建物取引士
- 不動産会社
空き家活用前の背景
■一周忌を期に処分を決断
1年前にお母様がお亡くなりになり、兄弟も実家へ戻って居住する予定がなかったため、一周忌を期に処分を決断。遺品整理などを進めるために、実家へ向かった際にポストに投函してあった空き家ゼロ推進協議会のチラシを見てお問い合わせを頂きました。初めてお会いした際には、実家での思い出やお母様が最後までご使用になられていた物などを見せて頂き、実家への思いを強く感じました。
それでも、今はご自身が遠方に住まわれており、管理ができないことや、築年数が古く、空き家にしておくことでお世話になってきた近隣の皆様にご迷惑をおかけしてしまうとの意向から、ご実家を売却する意思が固まっていらっしゃいました。
空き家ゼロ推進協議会からのご提案
■相続を放置をしていたため、法定相続人が膨大な数に
まずは権利関係の確認から行いました。登記簿謄本を取得したところ、所有者の名義人がお母様ではなく、土地はお母様の姉の配偶者、建物は2棟あり、1棟は土地と同じ名義、もう1棟はお母様のお母様、つまりご相談者様のお婆様にあたる方の名義でした。
ご相談者様も、なんとなく名義がずっと代わっておらず、相続登記がなされてない状態であることは理解しておりました。既に土地建物それぞれの名義人の方々はお亡くなりになっている状態なので、まずは法定相続人が何名存在するのかをはっきりさせることから始めました。
当初はご相談者様のご兄弟やお母様のご兄弟の方々を分かる範囲で相関図を作ってもらいましたが、どうやらかなりの人数に法定相続分が及んでいることが想定されたため、司法書士・弁護士の先生方にも関与して頂く事に決めました。
法定相続人を特定していくためには、戸籍謄本を確認していく他ありません。さらに各関係者の戸籍謄本を取得するためには、その関係者の本籍地の役所へ出向き取得申請をする必要があり、遠方だった場合はかなりの労力と時間が必要になってきます。ご相談者様も当初はご自身で様々な場所の役所を周り、取得をし、その度に相続の繋がりを確認していましたが、一方に終わりが見えない状態にもなっていました。
そこで、費用は多少かかりますが、士業の先生方にも職権で取得して頂くこととなりました。職権と言っても明確な理由が必要になります。今回の場合はこれ以上相続を放置すると、さらに大変になってしまうことから職権の使用が認められました。役所から戸籍が届くのは2週間~1ヶ月程度の時間がかかりましたが、ようやく法定相続人が判明し、相続関係相関図まで作成することができました。
最終的な法定相続人の数はなんと20名に及んでいました。
■法廷相続人の中に、海外移住をしてその後行方不明の方が
調べを進めると、さらに大きな問題が発生していることが分かり、その中の1名はアメリカに移住した後、行方不明の状態になっていたのです。親族の方々全員に連絡先や居住先を知っているかどうか確認を行いましたが、数年前を最後に連絡を取り合っていない方がほとんどで足取りが掴めない状態となってしまいました。このままでは勝手に処分できないことはおろか、法定相続人での遺産分割協議すら行えない状況です。
そこで、アメリカ領事館へ出向き、事情を説明した上で諸手続きを行い、アメリカでの所在調査を実施して頂くこととなりました。約1ヶ月の調査を終え、結果は不明。完全に所在を判明させる手段は無くなってしまいました。
■最終手段として不在者財産管理人制度の利用
再度、司法書士・弁護士の先生方と今後どうしていくか打ち合わせをし、最終手段として不在者財産管理人制度を利用してみることにしました。この制度は、従来の住所又は居所を去り、容易に戻る見込みのない者(不在者)に財産管理人がいない場合に、家庭裁判所は申立てにより不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため、財産管理人選任等の処分を行うことができます。
このようにして選任された不在者財産管理人は、不在者の財産を管理、保存するほか、家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で不在者に代わり、遺産分割、不動産の売却等を行うことができます。この制度を利用すれば、行方不明の状態でも実家の処分ができます。
ただし、裁判所へ予納金として数十万納める必要があったり、申請するために必要な書類を作成するために、司法書士・弁護士費用が高額になってしまいます。ご相談者様も悩んではいたものの、この方法以外に手段が無いことから、手続きを行うこととしました。
費用に関しては空き家ゼロ推進協議会提携の先生方であることから、実家の売却後、売買代金から必要な費用を支払うことを約束をし、ご相談者様の負担を軽減させて頂きました。
当初ご相談を頂いてから、調査、諸手続きを何度も繰り返し、費やした時間は約4年。ようやく無事に売却が完了しました。
空き家活用サポートメンバー
- 弁護士
- 裁判所への諸手続き、戸籍取得
- 司法書士
- 遺産分割協議書作成、相続登記
- 土地家屋調査士
- 測量、境界確定
- 宅地建物取引士
- 契約書作成、重量事項説明
- 不動産会社
- 各種調査、価格査定、買取り
ご相談者の声や解決後のお話しなど
■売却を決意するも、相続を放棄していたことで解決までに4年もかかるとは思っていなかった
長かった。実家の処分を行うと決めた時は、こんなに相続人が多くて、ここまで時間がかかるとは思わなかった。
母親の前の代から相続を放置してしまっていたことで、法定相続人が増えてしまった。自分のところは相続人の皆様も協力的だったのでよかったが、これが欲張りな相続人がいたりしたら、ずっとまとまらないことになってしまっていたかもしれない。
今現在空き家を所有されていたり、相続を放置している方は本当に気をつけてください。